せっかくの院長日記です。
自分への戒め(いましめ)の意味でも、失敗談を残しておくのって大事かな?なんて思いました。
患者様は江上様(仮名)、70代女性。
47年前に階段の一番上から転がり落ちて以来の腰痛に悩まされてらっしゃるとのことでご来院くださいました。当時、病院では、「骨に異常はありません」との診断だったそうです。
ただ、お話によるとその後も何回か階段でこけてらっしゃるとのこと。
ですが、最初に階段から落ちた時の痛みに比べれば軽かったそうで、そのたびに病院に行かれては無かったんですって。
とは言え腰がツラいのは変わらず、その後は整骨院やら整体やらマッサージやら、ありとあらゆる治療院に通って来られたそうです。
診させていただくと、腰椎の2番目3番目辺りは骨の並び(アライメント)に異常が見られ、やや圧迫骨折もあったように思います。いつのケガかはご本人も不明とのこと。
(そりゃ、痛かったはずっスよ^^;)
ただ、痛みの出具合や治まり方、検査からみたお身体の特徴からすると、腰痛の大きな原因は腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)という腰骨と骨盤と脚の骨の付け根を繋ぐ筋肉の固さにあると判断しました。
(失敗談と言いながら、この辺は自慢です^^;)
そこで、当院独自の手技とハイボルト。
さっきまで痛みで丸くなっていた背中がシャンと伸びて
「あれ?痛くないわね」
とのお言葉。
(一番嬉しい瞬間です)
痛みが出るメカニズムを説明し、普段の過ごし方も説明し、次回のご来院予約を頂きました。
が、これが説明し「たつもり」だったんです。
さて、三日空けての二回目のご来院。
「江上さん、ここ数日の痛みはどうでしたか?」
「その日は良かったけど、もう翌日からは痛くて痛くて・・・」
実は、こういう方は結構いらっしゃるんです。
言い訳に聞こえちゃいますが、痛みが再発するには必ず理由があります。
その理由が痛みが出るメカニズムに合致すれば、逆に「じゃぁ、どうしよう」という方法論につながりますから。
「そうなんですね。何をしてた時に痛くなりました」
「何って、翌朝からよ。痛くて起きられなかったわ」
「(え!そんなにぃ(汗)、と思いながらも)そうなんですね。了解です。で、今はどうですか?」
「今は、まぁまぁよ。けど、前に戻った感じ」
「なるほどです。じゃ、前回お家に帰られてからは大丈夫だったんですね?」
「そうそう。あの日は良かったんよ。で、友達と久しぶりに市民の森に歩きにいって・・・」
(はぁ?)
ガビーーーンです。
前回、施術後に痛みが出るメカニズムと普段の過ごし方を説明し、なんなら
「今の江上様には腸腰筋(大腰筋と腸骨筋)を伸ばすためのストレッチも痛みを起こす可能性があるから、今はやらないでくださいね」とアドバイスしたのですが、市民の森を散策とは・・・
細かな説明は他の機会にさせて頂ければと思いますが、起伏のある所を歩くのは腸腰筋やお尻の筋肉に大きな負荷がかかります。
上のイラストは階段ですが、階段を上がる時のももを上げる動作はまさに腸腰筋を収縮させる動作で、階段を降りる時の踏ん張る脚側は、全体重を支えながら腸腰筋が引き伸ばされる動作です。
起伏のある所を歩くというのは、腸腰筋が頑張り続ける行為なんです。
あの日は良かったから久しぶりに市民の森を歩く・・・
いいように考えると、痛みがあって歩きたくないのではなかったのですが、江上様にとっては「その後痛かった」というのが最重要課題。
とは言え、痛みが出たメカニズムはバッチリ合致。
その時の施術も前回とほぼ同様です。
で、さっきまで痛みで丸くなっていた背中がシャンと伸びて
「あれ?痛くないわね」
(当たり前じゃ!の思いはグッと胸にしまいこんで・・・^^;)
「良かった。ね、江上さん。だもんで、脚が頑張るようなことはしばらくお休みしといてくださいね」
「そぉじゃねぇ・・・」
という事で、プリペイドカードをご購入いただき、そのあと約5回治療をさせて頂いたのですが・・・
江上様パート2に続きます。
次回も失敗談です。
けっこうガックリきます・・・