今回は愚痴です。
愚痴と言うより泣き言でもあり、最後は怒りというか・・・ま、お付き合いください。
「病院の先生は手術ありきの話しかしてこんのじゃ」
と、奥様に付き添われながら約2か月程前に初めて来られたM.N.様。80代の男性です。
当院では、ご来院された時のお姿を見て
「こりゃ、イカン」
と思った方には、手押し車的に使っていただくためにキャスター付きの小さなテーブルをお出しするようにしています。要はM.N.様、初めてのご来院時、一人ではまともに歩けてなかったんです。
問診表をお書き頂きますが、その時点で自分の中では「ここがこうで、こういう痛みじゃないかな?」という仮説を立てています。
カッコよく言えば既に「視診」は始まっています。
M.N.さんの場合、左のお尻からふくらはぎにかけての痛みが激しいとのこと。世間一般で言う、いわゆる「坐骨神経痛」です。
問診表のご記入が終られたら、今度は施術ベッドの方に移動をして頂きます。もちろん、先ほどのテーブルを使って頂き、奥様にもそばにいて頂いてです。
ここから問診や触診を始めるのですが、自分の中では先ほど立てた仮説との答え合わせの段階です。
M.N.様、
「座っとんのは全然ええんじゃが、歩いたり、朝起きたりがツラいんじゃ」
とのこと。通常だと、ここでベッドに寝転がっていただくのですが
「(いや、M.N.さんの様子だと、ベッドに寝る動作はむろん、寝ているだけでも痛みが強くなるんじゃなかろか)」
というこれまた仮説が立ちます。
こういう場合皆様に
「じゃぁ、〇〇さん。ベッドに仰向けになれますか?痛みが出そうとか、仰向けになるんはキツイよ、言うんなら遠慮せず言って下さいね。そういうのも治療のヒントなんですから」
と声かけさせていただくのですが、多くの場合
「おぉ、大丈夫、大丈夫」
と言いながら
「痛たたたた」
となるんです。M.N.さんのようなご様子の場合ですよ。
心の中では
「(アチャァ、やから言うたやんけぇ)」
と思うと同時に
「(だから、なかなか治らないんだな)」とも。
ただ、いったん仰向けに(なってお膝を立てた状態に)なると、仰向けになろうとする時に出た痛みは落ち着かれます。
落ち着かれますが、M.N.さんのような場合、今度はそのままにしていると痛みが増幅してくることが多々あるんです。
通常であれば、仰向け膝立て状態で色々検査をさせていただくのですが、案の定M.N.さん。
「痛たたたた」
と。で心の中では
「(アチャァ、やから言うたやんけぇ)」
・座ってるのはいい
・歩く、起きると激痛
・寝ていても痛い
もう、これで自分の中では施術の方針は確定です。
ただ、そのためにも確認しておかないといけない点がいくつかありますので、再度ベッドに腰かけるように戻って頂きます。
ますが、やはりこれまた激痛です。
「(だから、仰向け無理やったら言うてくれ言うたやろがいっ!)」
と、喉の奥に出かかった言葉は飲み込みながら。
で、座って落ち着かれたので
「M.N.さん、病院ではどこがどうとか言っておられました?レントゲンとかMRIとかで」
「それが、脊柱管狭窄症じゃぁとは言よったけど、上手く映らんかったんで、また7月に来てくれ言われたんじゃ」
「(ん?それってもしかして)MRIが撮れんかったんですか?」
「ワシが震えてたみたいで、画像がブレてたじゃと」
「(そりゃそうだ。膝立て仰向けがこんなに痛いのに、MRIの筒ん中で何十分もジッとしてられるかいな。M.N.さんからすると地獄の時間帯じゃがな)なるほど。なのに、先生は手術を(勧めてこられたの)?」
「ほうよ。けど、とりあえずは痛み止めで我慢しぃ、ゆうことでもろて来たんじゃが、全然効かんけん、いっぺん診てもらおう思うて来たんよ」
「どんなお薬もらいました?今、分かりますぅ?」
とお聞きした所、病院での処方箋をお持ちになられてたので拝見。
いわゆる抗炎症剤と神経の伝達を抑えるお薬。
「じゃぁね、M.N.さん。一つ頭を整理しておいて欲しいんじゃけど、『薬が効かん』言うのが、『薬が効かんくらい様子がヒドイ』のかも知れんけど、『効果を出すように作られた薬じゃけど、痛みの原因が違うから効かん』の二つのケースがあると思うんですよぉ。それ、分かってもらえますぅ?」
「おぉ、確かに、そうじゃのぉ」
「ボクは、M.N.さんの症状は(ここは省きますね。ある意味、企業秘密ですから^^;)で起きているとも考えられるんです。だって、今日入って来られて(ここも)でしょ?脊柱管の中が狭くなくても同じ症状は起こるし、どっちか言うとM.N.さんの症状の出方ってコッチの方がしっくりきません?」
「そういやそうじゃのぉ」と、ここで横にいらした奥様が
「とすると先生。この人、(ここもね)な事した後で痛い痛い言うのも合ぉてますね」
「あ!そうなんですか?じゃないかと思ってたんですよ。とすると、M.N.さん。〇〇もしてません?」
「え?なんで分かるん?〇〇したり□□したりはしよるぞ」
「実は、ボクの中で法則があるんです。『頑張り屋さんほど治らない』いうのが。とすると、M.N.さん。脊柱管が狭くなってるから痛いのかも知れんけど、それで病院の先生が出してくれたお薬が効かんいうことは、原因が違とる可能性があるんです。それが、ボクがさっき言うたヤツね。原因が違とるか、場合によったら混ざっとる事もあるけど、ボクが考える原因が合おとるなら、今『10』痛いとしたら治療して『5』になったり『3』になったり、上手い事行けば『0』になると思うんです。やから、(中略ね)というようにやってみません?」
「そうじゃのぉ。先生、やってみてくれ」
「じゃぁね、M.N.さん。一つだけ約束して。『一刻も早ぉ治そぉとして頑張らない』と」
「よっしゃ、分かった」
で、初回の施術が終って幾分か立った時の痛みが軽減。歩くのがツラいのは変わりませんがベッドでの寝返りで痛みがほぼ『0』に。
で、その後は週二回のペースでご来院いただきました。
途中、懸念してた通り『頑張り屋のM.N.さん』は痛みが再発。
「先生、なかなか治らんなぁ」と。
お話をお聞きすると、「痛みが軽くなってきたから、家の中で30分くらい歩いている」とのこと。
こっちからすると「(ざけんな!あれだけ言うたやろが!)」
の思いですが、伝わらなければ言ってないのと同じ。
時間はかかったものの、今ではご自分で車を運転して来られるし、家の中では杖とか支えなく歩けてる、外出時は一応杖を持って出かければOKというまでに。
言っておきますが、ボクは一切脊柱管の中を広げる施術はしていませんし、んなもん出来ません。けど、痛みが改善したというM.N.さんのお姿こそが何よりの証拠。
脊柱管狭窄症とはいうものの、脊柱管が狭くなっていた事がM.N.さんの痛みの大きな原因ではなかったと考えます。
で、話は続きます(長くてスミマセン)
「先生、昨日〇大病院行ってきたんよ」
「(あ、そうか。7月になったらまた来なさいと言われてたんだ)そうなんですね。先生、何か言うてました?」
「うん。今度はちゃんとMRIが撮れてね、先生が言うには『神経根が当たって痛みが出よる』と。で、『調子がいい時は神経根があたってない時』なんじゃと。『今は落ち着いとるみたいやから、また悪くなったらいつでも手術してあげるからおいで』やと」
「ほうなんや。で、M.N.さんは?」
「そうやのぉ。今んところは当たってないみたいやから、このまま先生んとこでやってもらおう思とるわい」
正直、複雑な気分なんです。仕方ないっちゃぁ仕方ないんでしょうが。
M.N.さんが良くなっているのは嬉しいんですよ。メッチャ嬉しい。
けど、それはM.N.さんが〇大病院でMRI撮ろうが撮るまいが関係なく嬉しいんです。
じゃ、ナニが?
二つあります。
一つは、良くなっているのを一番実感されてるM.N.さんが、「今んところは(神経根が)当たってないみたいやから」痛みがないとお考えでらっしゃる事です。
言っちゃなんですが、ボクは脊柱管を広げてなんかいません。脊柱管狭窄症と言われる症状だけど、他の原因が考えられるから、そこを改善しましょうと施術をしたんです。で、痛み止めのお薬が全く効かなかった痛みが改善して行ってるんです。ですけど、やはり大きな〇大病院の先生のお言葉の方がM.N.さんには響くんですね。
M.N.さん、前回は痛みで震えて上手く撮れなかったMRIがきれいに撮れたんですよね。20分くらいでしょうか、ジッとしていられたんですよ。
ジッと寝てても痛みがあったのが改善したのはナゼ?
ですわ(TT)
もう一つは〇大の先生。痛みで震えて上手く撮れなかったMRIがきれいに撮れた(=ジッと寝てても痛みがあった)のはナゼ?アンタが何もせずに、自然にM.N.さんの脊柱管が広がったの?
ていうか、神経根???
おいおい、笑わせんじゃないよ。
神経根って脊柱管の外にあんだろがよっ!
解剖学、勉強しなおせ!!!
M.N.さんが知らないのをいいことに、。テキトーなことぬかすな!!!
ていうか、以前はMRIが撮れず、脊柱管の中なのか外の神経根かも分からずに「脊柱管狭窄症だから」と手術勧めた、てどないなっとんねん!!!
な院長日記でした。
一般の方がよく分からないのをいいことに、自身のもつ社会的信用のあるとされる肩書を利用して捻じ曲げた事実(=嘘)で自分が有利な方向に物事を導くのは朝日新聞をはじめとするメディアがよく使うワタシが最も軽蔑するやり口です。
そういう点で、二言目には「骨盤の歪みがー!」「矯正がー!」言ってる連中と、〇大のエライ先生とやらも同類なんですね。
ですので、今回の「院長日記」のタイトルは
白い巨塔ならぬ白い虚答
でした。お付き合いいただきありがとうございました。