ここのところ不思議なもので、県外からの患者様がお見えになります。
え?違いますよ。評判を聞きつけてわざわざなんかじゃありません。
出張や連休での帰省なんかでついでに、という方々です。
そんな中のお一人。60代女性のAさんのお話です。
11月3日の振り替え休日だった4日の月曜日にお電話がありました。
「あのぉ、ネットで見てお電話したんですが、いいですか?」
午後からの時間で空きがあったので
「もちろんですよ。どうされました?」
「いや、今は〇〇(県外)に住んでて今治に帰って来てるんですけど、そこの整〇院さんで『内臓が歪んでいる』と言われたんです・・・」
「(ムムム!こりゃ大好物の患者さんかも!)そうなんですね。で、どんな症状でお困りなんですか?」
「はい、右のお尻や太ももが時折痛くなって、ひどい時は深呼吸するのもツラいんです」
「うわぁ、それは大変ですねぇ。ひどい時って、例えば思い浮かぶ時はありますぅ?」
「そうですね、結構テニスとかするんですけど、その後とかでしょうか。やってる時もありあますけど、朝起きてベッドで背伸びする時にも時々・・・」
「(ハハァ~ん、何となく察しはついたぞよ)そうなんですね。是非診させて頂ければと思うんですが、ご都合のよい日時とかは・・・」
以下、いつもの感じでご予約を頂きお昼過ぎにご来院。
で、問診の中でAさん曰く
「その整〇院さんでは、私の場合は右の腎臓が下に下がってるから横隔膜を引っ張って、その影響で右の肺の動きが悪くなっているって言われたんです。あと、その影響で、右の股関節周りで炎症が起きていると」
「(来た来たキタ北、おいでなすったキタキツネ!!!)なるほど、大変ですね。じゃ、先ずはお体の様子を検査させてくださいね。痛かったり、その動作イヤだなと思ったら遠慮なくおっしゃってくださいね。それもヒントになりますから」
ということで、ほぼほぼ答えは頭にある状態で検査(僕のオリジナルかも)を。
で、改めて問診を。
「ところでAさん。テニスはいつ頃からされてます?」
「けっこう前から、15年くらいになりますか。子育てがひと段落してですね。実は学生時代もけっこうヤッテタんですけど、20年くらいブランクがあって老後の健康作りの意味も込めて・・・って感じです」
(後々お聞きすると「けっこうヤッテタ」の「ヤッテタ」レベルは中々なもので、全国大会に何度か出てたそうです)
「そうなんですね。今は、例えば週何回くらいのペースで?」
「そうですね、週2回くらいかしら。土日や、祝日がある週はその時も、って感じです」
「行くと、いつも何時間くらいされるんですか?」
「そうですね、初心者の方をちょこっと教えていくつか掛け持ちしたりすることもあるので、午前午後合わせて5~6時間くらいはコートにいますよ。ま、そういう時はあんまり動くことはないんですけど、大会が近くなると4時間くらいは結構ハードにやりますね」
(うちの患者さんにもいらっしゃいますが、そういう大会に出る方って変な言い方になりますが【かなりマジ】です)
「あぁ、やっぱり」
というのも、お若い頃にハードにスポーツやってた方に多い特徴がAさんにはガンガンに詰まってるんです。検査で分かったのは
股関節を支える様々な筋肉が(以下、ナイショです)
「Aさん、普段歩く時には右のお尻や太ももの辺りは気になりませんか?」
「あんまり気にしたことはないですけど、言われてみるとこの辺に左よりは違和感がありますね」
「とするとAさん、今深呼吸するのはどうです?ちょっと立ってやってみましょうか?」
「(スゥーーーー、ハァーー)、あ、ちょっと痛いですね」
「どの辺が痛いですか?」
「この辺です」
「了解です。じゃ、今度は試しに坐ってやってみましょうか?」
「え?坐って?坐って深呼吸すること無いんですけど」
「ですよね。あくまで検査としてね。多分痛みは出ないと思いますよ」
「はい。(スゥーーーー、ハァーーーーー)、あれ?大丈夫です」
「でしょ?じゃ、今度は右肩上にして寝てみましょうか?お尻のあたりどうです?」
「〇×△■〇ですね」
「じゃ、これを△□××してみましょうか?多分これも・・・」
「あ?痛くない」
「でしょ?じゃ、今度は〇〇□◆してみましょう。寝返り、大丈夫です?」
「ちょっと、××にイヤな感じがありますが、大丈夫です」
「あぁ、やっぱり。Aさん、◆□が××なってるの分かります?」
「はい。けど、それが何かあるんですか?」
「じゃぁね、今の〇〇の感じと、今度こうしますよ・・・こうした時の〇〇の感じはどうです?どっちが楽とかありますか?」
「あ、今の方が全然楽です」
伏字ばっかりでサッパリ分からんという方、スミマセン。
ただ、普通に国家資格を持っている整〇院の先生ならピン!と来られますよね。
で、これらを踏まえて施術をさせていただきました。
「Aさん、このまま右肩上に寝てみましょうか?この辺、さっきと比べてどうですか?」
「あ、全然問題ないです」
「じゃ、Aさん。ちょっと、今度は立って深呼吸してみましょうか」
「はい。(スゥーーーー、ハァーーーーー)、あれ?全然大丈夫です。座って・・・(スゥーーーー、ハァーーーーー)、こっちも大丈夫です」
「で、今ベッドから起きたり、立ったりしゃがんだりでお尻や太ももは?」
「気になりませんでした」
「じゃ、今度は歩いてみましょうか?」
「あ、左と差はない、なんか詰まってたものが無くなってスッキリした感じです。なんでぇ?」
こういう瞬間がたまんないんですよねぇ。
後は、今Aさんを悩ませている症状を起こすモノやそれが起きるメカニズム的な事をお話し、大事なのはこれからの過ごし方なのでその辺もお話しさせていただきました。
要は、「今は施術直後なのでいい状態だけど、放っておくとこれは必ず戻ってきます。戻らないため、もしくは戻って来そうになったら分かるために必要な予備知識を持っておいてください」という事をお伝えしました。
で、そういう視点で施術してくれる整〇院さんを探された方がいいことも。
で、これは武士の情け的な気持ちでお話ししなかったのですが、一番言いたかったのは
「その整〇院は即刻行くのはやめなさい」
です。
Aさんのお話によると、その整〇院さんでの施術は「内臓調整+骨盤矯正コース」というものだったともこと。
通常「内臓調整コース」が一回5千円で10回券で4万円。「骨盤矯正コース」が一回5千円で10回券で同じく4万円。両者を合わせた「内臓調整+骨盤矯正コース」だと、一回1万円なんだそうですが、10回券になると7万5千円になって2万5千円お得になるそうです。
回数券云々はいいんです。当院でも、じっくり施術させていただくために導入していますし。
要は、その根拠なんです。
内臓調整も骨盤矯正も自分には全く理解不能なのですが否定はしません。効果が無いという証明が出来る程の知識はありませんから。
ただ、思い出して下さい。
Aさんがお住いの整〇院さんで言われたこと。
問診の中でAさんはおっしゃられてました。
「その整〇院さんでは、私の場合は右の腎臓が下に下がってるから横隔膜を引っ張って、その影響で右の肺の動きが悪くなっているって言われたんです。あと、その影響で、右の股関節周りで炎症が起きていると」
ツッコミどころ満載すぎて、どこからツッコんで良いやらw
- 右の腎臓が下に下がっている
確かに腎臓は左右二つありますが、右の腎臓は左に比べるとやや下方にあります。あって当然です。その上に巨大な臓器の肝臓があるんですから。そんなの習ってないの?
- 下に下がってるから横隔膜を引っ張って
腎臓は尿道に繋がる膀胱にはつながっているけど、横隔膜や背中の膜にもつながっていません。中腔に浮かんでいる状態って習ってないの?どうやって横隔膜引っ張るの?
- その影響で右の肺の動きが悪くなっている
言い回しの問題かも知れないけど、肺は自ら動きません。横隔膜に引っ張られて“ふいご”のように広がったり閉じたりするって習ってないの?
- その影響で、右の股関節周りで炎症が起きている
股関節に炎症を起こすほどの「その影響」ってどんなものなの?
「発赤」「発熱」「腫脹」「疼痛」ってのがそもそも炎症の状態だけど、「疼痛」以外の「発赤」「発熱」「腫脹」、Aさんのどこにあるの?
それこそ、そもそも「炎症」の4徴候って習ってないの?
- ていうか、アナタがAさんの右の腎臓が下に下がっていると判断した基準は?
見たの?触って分かるの?
- 判断したとして、どうやって左右の腎臓の位置を合わせられるの?
こういう、一般の方だとよく分かってない事を逆手にとって、さも“それ風”な事を言って利用しようとする人、大ッ嫌いなんです。
ま、裏返すと今回のように大好物でもあるんですが^^;
あぁ、一度その整〇院さんで施術を受けてみたいです。私の身体がどうなってるのか知りたいですから(ウソ)