56歳男性のぎっくり腰 その1

痛てててて

今回の症例はいわゆるぎっくり腰です。

基本立ち仕事でらっしゃるそうですが、約1週間ほど前のこと。

時刻は夕方6時を過ぎたあたり、上半身を少し右にひねって前かがみになった状態で1分ほど過ぎたころ

「ん?これはヤバいかも・・・」

と思われたそうです。ヤバい場所は左の腰からわき腹にかけてで、何となく「ギューッ」と筋肉が固くなってくるのを感じたとのこと。

その日は「おかしいいな」くらいでしたが、翌朝目が覚めて起きようとしたところ

「痛ぇ、ててててて!」

ベッドから起き上がれません。痛い場所は腰、それも左側。

とはいっても起きなければなりませんから、必死でベッドに腰かけて「さぁ、着替えよう」としたところ

「ぐぬぬぬ!」

靴下が履けません。前かがみが全く出来ない状態になっていました。

ほぼ半泣きで靴下履いて朝の支度をして車に乗って(乗り降りも大変だったそうです)仕事に行き、なんだかんだしてると何とか動けるようになったそうですが、腰には常に痛みがあり、前かがみは痛かったとのこと。

改めて、患者様は56歳男性。

最低でも週に3日程度は1時間弱のウオーキングをし、月に1,2回は自転車で50~100㎞走るという生活を2年くらい続けておられるという方です。身長180㎝・体重93㎏の比較的がっしりした方で、大学と社会人時代はアメリカンフットボールの選手で“ブイブイ言わした”方・・・バレました。実は私です^^;

「イェイ!」じゃねぇっつうの(^^;

ですので、治療はもちろんセルフ。

症状を起こした部位の状態も症状を起こしたきっかけ分かりますし、今の痛みがどういう状態なのかも分かりますから、朝は早めに出勤してきて、昼休みは昼休みで、そして夜帰宅する前にもその時の状態をチェックしての治療をしましたので、日中は前かがみさえしなければ何とかやり過ごせたんですね。

ただ、問題は朝。

患者様からも良く言われますし、私も事前にお伝えしているのですが

朝は痛いんです。

「え!寝ているだけなのに悪くなるの?」

と思われるでしょう。誤解を恐れず申し上げるなら

「YES!」です。

ですが、正確には「その痛みの原因が筋肉の問題であるのなら」という前提がつきます。

「寝ている間に痛くなる」メカニズムを追っていくと

寝ている間は筋肉が日中に比べてほとんど動いていない

→筋肉への血液がゆっくり流れる(部位によっては日中の20分の1になる)

→筋肉としては寝ている間にどんどん冷えて固まっている

→朝目が覚めた時にはカチンコチン

→柔軟性が落ちた筋肉で動く(起きる)のは準備体操もストレッチも何もしていないのに朝起きた途端に重量挙げする(腰にとっては、上半身という重量を持ちあげる)ようなものですから、必ずどこかに大きな負担がかかります。

今回の場合、ザックリ言えば「気をつけ―!」をする時にギュッと縮もうとする筋肉がひきつけを起こしたようになったことが痛みの原因ですので、「靴下をはく」などの「前かがみ」が全然できなくなってしまったんですね。

ウオーキングや自転車、健康のためにはいいことなんですよ。いいことなんですが、ダメですね。終わった後、整理体操やストレッチを全っ然やってなかったんです。

(患者様には常に「しましょうね」って言ってるくせに^^;)

患者様によく尋ねられます。

「筋肉が弱くなったから痛めたんじゃろ?」と。

もちろん、患者様ご自身が感じられている「弱くなった」というのは正解なのでしょう。ですが、逆に言うと「痛みを起こすほど弱くなる」というのはどういうことなのでしょうか?

じゃ、生まれたばかりの赤ちゃんは痛いから「オギャ!オギャ!」と泣いているのでしょうか?

なんなら私です。先週ぎっくり腰を起こしてしまいましたが、先々週にくらべて急に筋力が落ちたのでしょうか?

いやぁ、どちらかと言うと、「その辺の56歳のおっちゃんよりは元気なはずよぉ」という気持ちではいましたよ。

要は知らず知らずのうちに「気をつけー!」をする筋肉たちが固くなってたんですね。それと、年齢とともに筋肉の柔軟性自体も落ちていた、と。

これまた患者様には口酸っぱくお伝えしているのですが

「筋肉は強い・弱いよりも、固い・柔らかいの方が大切なんですよ」ということを身をもって学ばせてもらいました^^;。

「割りばしかコンニャクか」のお話です。

 

痛みの方は土曜日(3日後)あたりから落ち着いてきたのですが、実は今回は新たな発見があったんです。というのも、今まで体験したことがないタイプの痛みを、その3日目あたりから感じ始めてたんですね。体験したことがなかったのか、あったけど意識して考えたことがなかったのか、もしかしたら後者かも知れませんが、これは「その2」で書いてみたいと思います。

それとは別に、「自転車と腰痛」に関しては、また別の機会にお話させていただきますね。ではでは。