56歳男性のぎっくり腰 その3

今回は「ぎっくり腰で歩けない」についてです。

「ぎっくり腰で歩けない」には大きく分けて3つのケースがあると考えます。

歩けないぎっくり腰 3つのパターン

・腰が痛くて立ち上がれないから、歩く以前にそもそも動けない。

・立つことは出来ても、痛みのために動けない。

・動くには動けるけど、脚に体重がかかったら力が抜ける、もしくは上手く力が入らない

今回私が体験できたのは「3」なんです。

 

整理しますと

1:痛みがあるのは主に左の腰

2:前かがみ(靴下をはくなどの動作)が痛い

3:ふとした瞬間に左のお尻に激痛が走る

4:左脚で踏ん張ることが出来ない(左脚で体重を支えられない)ことがあった

の4つが特徴的な症状でした。

 

1,2についてはこのシリーズの「その1」でお話したように、「気を付けー!」をする時に頑張る筋肉が固くなってしまったこと。3については、そのうちでお尻にある筋肉が相反神経反射が崩れた瞬間に起きているのでは?という推測が生まれたこと。で、4です。

4:左脚で踏ん張ることが出来ない(左脚で体重を支えられない)

というのを言い換えると

立った状態(立位)を維持するために働く筋肉が力を発揮できない状態です。

立った状態で頑張る筋肉はたくさんありますが、大きく2つ。

・太もも前側にある大きな筋肉(大腿四頭筋と呼ばれています)で、主な働きは膝を伸ばすことです。

お尻の筋肉:多くの筋肉で構成され、主な働きは脚を後ろに振り上げることです。

当院の症例ページやブログで度々登場しますが、ピノキオをイメージしてみてください。

そのままではペシャンと地面にしゃがんでいます。

先ず「立つ」という動作の中の一つには「膝を伸ばす」という動作があります。

あ!その前に大前提として一つ。

筋肉の仕事、その大前提

筋肉の働きは基本「縮む」ことです。「頑張って縮もうとする」から派生して「伸ばされないように縮み続けようとする」ということもありますが、「伸びようとして頑張る」ことはありません。それを踏まえて

大腿四頭筋がギュッと縮む動作です。そして「立った状態を維持する」というのは

「体重で膝が折れ曲がらないように大腿四頭筋がずっと頑張り続けている状態」

で、片足立ちというのは

「全体重をかかった側の膝が折れ曲がらないように頑張っている状態」です。

次はお尻です。

お尻の筋肉の主な働きは「脚を後ろに振り上げる」ことと書きました。ということは「立つ」という動作は、ペシャンとしゃがみ込んだピノキオの折りたたまれた状態の股関節(前に曲がっている脚)をピンと伸ばす(後方に振り上げる)動作です。

「立った状態を維持する」というのは

「体重で股関節が折れ曲がらないようにお尻の筋肉が頑張り続けている状態」

で、片足立ちというのは

「全体重がかかった側の股関節が折れ曲がらないように頑張っている状態」です。

「立つ」「立った状態を維持する」」「片足立ちになる・片足立ちでいる」というのは、これらの筋肉が大いに頑張っている状態なんですね。

「歩く」という動作を、例えば左脚を主体に分析すると

・右足を前に出そうとする=左脚だけで体重を支える

ですから、

左の大腿四頭筋やお尻の筋肉が頑張れないと体重を支えられません

体重を支えられない=力が入らない

ということです。

ここで気づかれた方もいるでしょう。

先ほどから何度も何度も「頑張る」という言葉が出てきますが、これは誰が「頑張れー!」と命令を出しているんです。で、その誰は自分自身です。

要するに脳からの命令が神経を伝ってそれぞれの筋肉に伝わっているから頑張れるんですが、その命令が伝わらなかったらどうでしょう?そうです。

・筋肉が力を発揮できない=力が入らない=「歩く」時に体重を支えられない

ということになるんです。

頭蓋骨に入っている脳が脊髄となって背骨(脊柱)を通り、椎間孔という脊柱の横にある穴から外(体内)に出て、皆さんがイメージするいわゆる神経となって筋肉や臓器の間を経て筋肉にたどり着きます。

じゃ、それぞれの筋肉に「歩くために頑張れ」と出た命令を邪魔するのは誰やねん!となりますね。

 

ま、大たいお察しのことと思いますが、「その4」に続きます。