眼瞼下垂が治ったんよ
「え!おたく、そんな治療もしてるの?」
と思われたかもしれませんが、もちろんやってません。
ただ、こういったことがたまにあるんです。
今年84歳になられるお母さま(お孫さんがいらっしゃるから、正確には「おばあちゃま」ですね^^;)ですが、当院にはお腰とお膝の症状でお見えになられました。
ちなみに膝の症状って難しいんです。
お膝そのものに症状の原因があることもあれば、膝以外の所が原因で症状を起こしていたりすることもありますし。なんなら、「鶏が先か卵が先か」的に、どちらも関連しあいながら症状を進行させてしまっているケースもあり、どこを治療するかとか、どちらに重点を置いた治療をするか、日常生活はどのような過ごし方をされているか・・・様々な要因を頭に入れておかないと一向に治療効果が上がらないことがあるんです。
この方の場合は腰痛にも関係していた股関節周囲の筋肉が大きく関係していて、5回目(約2週間ほど)の治療でほとんど痛みはなくなってらっしゃいました。
そんな中、申し訳なさそうに尋ねられました。
「実はねぇ、もう何十年も前に眼瞼下垂の手術したんやけど、それ以来ずーっと右目が変なんよねぇ。こういうのも何とかなるぅ?」と。
お顔を見ると、とくに瞼がどうこうは無さそうです。動きも左右差は感じられません。
「変なんていうのは、どういった感じなんですぅ?」とお聞きしたところ
「う~ん、上手い事言えんのじゃけど、重ぉい言うか、シンドイっていうか・・・」
ぬぬぬ!いわゆる「ご本人しか分からない症状」です。
「ここが痛い」「こうすると痛い」とか、「痛くてこれが出来ない」「こうしようとすると上手く動かない」などの「症状が現れるきっかけ」があると、そこから色んな原因を推測して治療が出来るんですが、見た目も正常だけど「ご本人しか分からない症状」ってのはかなりの難関です。
「お医者さんに言うても、目の動きも瞼も大丈夫やから心配ないよと言われるだけで、何もしてくれんしねぇ」
「なるほどぉ・・・」
と言いつつ、実は心のなかで「カチャ!」というスイッチが入る音が。
というのも、こうなるとがぜんやる気が出てくるメンドクサイのが自分なんです(^^)。
「じゃ、ちょっと検査してみましょう」
ということで、体幹から首・肩周りの検査をすると右の肩甲骨の内側と背骨から首にかけてにすごい筋肉のこわばりが。
「〇〇さん、これツラくない?」
「そうなんよ。これはもう、それこそ何十年もよ。お墓まで持っていかなアカンのじゃないw?」
とのお話。
「(ははぁ~ん、これかなぁ?)」
それこそ眼瞼下垂の手術をしたことをお聞きしなければそんなことには一切気づかないお顔のご様子、瞼の動きも左右差ないことから動眼神経や顔面神経がどうのこうのは関係なさそう。そもそも、そういうお医者様の診断でもあるし。
とすると、肩甲骨から後頭部、後頭部から頭頂部を超えて瞼の上の前頭筋につながる帽状腱膜、で眼輪筋。もしくは顔面動・静脈や側頭動・静脈などの循環の問題かな?
ということで、ひと段落ついたお腰やお膝よりもコッチをメインに。
治療箇所とすると首周囲の筋肉はもちろんですが、首から肩にかけての筋肉のこわばり(緊張)を強めている右の広背筋や棘下筋などを手技に加えてハイボルトや超音波で緊張をとり、楽トレで仕上げる必勝パターン。
すると、その治療を続けて約3週間くらい経った時
「先生、最近気にならんようになってきたわい。特に朝が楽になったわぁ」
なるほど!逆に言うと「朝がツラかった」んですね。
朝起きた時ってのは疲れはとれてる状態ですが、寝ている間は筋肉がほとんど動いていなかったので血の巡りは一番悪い状態とも言えます。
高校野球甲子園で第一試合が決まったチームは数日前から夜中の2時・3時に起きるようにするって聞いたことがあります。若さあふれるスポーツマンでも、朝起きぬけは身体が動かないんです。目覚めて起きて、徐々に動いて身体に血液を循環させて初めて準備体操して試合に向かうんです。我々一般人はなおさらです。しかも、人一倍固くこわばった筋肉あったとしたら・・・
「変なんていうのは、どういった感じなんですぅ?」とお聞きしたところ
「う~ん、上手い事言えんのじゃけど、重ぉい言うか、シンドイっていうか・・・」
筋肉の血行不良からくる症状の場合、こういう表現をされる方ってけっこういらっしゃるんです。
その他にも、「鼻の奥の方がクーンときててねぇ」とか「親指がジワーっと」とか「膝が痛いんじゃないんやけど」とかとか。色んな「ご本人しか分からない症状」ってあるんですよね。レントゲンやMRIには異常はありません。異常が無いからお医者様も「大丈夫だよ」と言われるけど、ご本人には全っ然大丈夫じゃない症状。けっこうあるんです。
結局、この方の場合も医学的なというか「コレっ!」という病名が分かった上で施術させていただいたわけではありませんが、「こういう症状を起こす原因とすると、もしかしたらこうかな?」という推測をいくつか立てて、それを一つ一つやっつけていくといい結果に結びつくことが多くあるんです。
「ご本人しか分からない症状」に出くわした場合の心構えを思いっきり乱暴な言い方をさせていただくなら
「その原因が眼瞼下垂であろうとなかろうと、いやぁな症状が無くなりゃええやん」精神なんです。
ダメもとで結構ですので、是非お聞かせ下さい(^^)
次回は「ご本人しか分からない症状」つながりで、交通事故後のむち打ち症について書いてみたいと思います。お楽しみに。