実は今、この原稿を前にして30分くらいジッとしてるんです。というのも
「インナーマッスルを鍛えましょう」
皆さんもよく耳に目にするでしょう。私も施術の中でよくお話をしますが、さて文章にと思うと・・・表現力の無さを恨むばかりです。
当院では様々なオモチャや雑貨、イラストを使って患者様にイメージを持っていただくようにしてはいるのですが、実はこの言葉、ちゃんとした定義がないんですよね。
「え!そんなことないでしょ?テレビや雑誌でいつも言ってるじゃん」
そ、そうなんですけど・・・例えば腹横筋(ふくおうきん)
「内側にあるのがインナーマッスルで外側にあるのがアウターマッスル」と言われますが、腹横筋はお腹の腹巻の部分です。けっこう表面でしょ?
「体を動かすのがアウターマッスルで、支えるのがインナーマッスル」ともいわれますが、肩甲骨にある棘上筋は腕を上げたりする時にけっこう頑張ります。あ、なんなら表面近くにありますから直接触れるかも・・・といった状態です。
ですので
勝手に定義しちゃいます(^^)
インナーマッスルとは「重力に抗して、俺は(私は)人のままでいたいんだ!」という時に頑張る筋肉。
アウターマッスルは「俺は(私は)人として何かを頑張るんだ!」という時に頑張る筋肉。
で、当然のことアウターマッスルが「人として何かを頑張る」時に一緒に「そうだね。じゃ、一緒に頑張るよ」というのがインナーマッスル・・・
ですよね。てことで、少し話は思いっきり変わります。
こんにちは、赤ちゃん
赤ちゃん、かわいいですよね。ご自分ちのお子さんであろうと、近所のお子さんであろうと、なんならテレビに映った何の縁もゆかりもないお子さんであろうと思います。「あら、かわいい」って。そういう心情になる理由って色々あるそうです。例えば、長い年月の間に人間にはDNAレベルで「小さいものや丸っこいものをかわいいと思う」因子が組み込まれているとか。
そして思いません?「守ってあげたい」って。
これまた、理由とすると「自分たちの未来も託す存在だから守りたい」とか。その中の一つに、自分はこんなのがあるのでは?と考えています。単純ですが
「フニャフニャで、今にも壊れちゃいそうだから」です。
実は赤ちゃん。お父さんお母さんから遺伝子を受け継いで生まれてきますが、生まれたばかりの時はお父さんお母さんと同じ体ではありません。
レントゲンを見ると分かりますが骨は薄っすらしてます。関節の辺りなんか「あれ?撮影ミスしたの?」と思うくらいに。そうなんです。骨はある意味スカスカのグニャグニャです。だって、大人と同じにガッチリしてたら、お母さんから出てくることが出来ないですもんね。これから何年もかけて大人と同じになっていくんです。
で、筋肉。レントゲンには映りませんが、筋肉としてあるべきところにはあるんです。
けど、筋肉もフニャフニャです。筋肉が筋肉として力を発揮するには鍛えなくてはなりません。
(やっと本題に近づいてきましたよ)
人は生まれた瞬間から筋トレが始まっている
筋トレをしたことがある方ならイメージできるでしょうが、鍛えるには負荷をかけなければなりません。負荷=重力に逆らうことですね。
ダンベルが床に落ちないように頑張ることで力こぶが鍛えられます。
赤ちゃん、抱っこしてみましょう。頭を支えてないといけませんよね。頭の重さを支えるのは首の筋肉です。筋肉があるにはあるけど頭の重さを支えるだけの力がないんです。
赤ちゃんが自分で自分の頭の重さを支えることが出来るようになるには3か月くらいかかります。そう、首がすわるのに3か月。3か月かけて、自分で自分の頭の重さをコントロールするのに3か月かかるんですね。下の図は赤ちゃんが一人で立ち上がることが出来るまでの流れです。
「〇〇か月で〇〇出来る」のを逆に考えましょう。
手足をバタバタさせる筋肉がつくのに1か月
首がすわり、触れたものをつかむ筋肉がつくのに3か月
寝返りが出来る筋肉がつくのに5か月
お座りが出来る筋肉がつくのに6か月
ハイハイが出来る筋肉がつくのに8か月
つかまり立ちが出来る筋肉がつくのに9か月
つたい歩きが出来る筋肉がつくのに10か月
なんとか一瞬立つことが出来る筋肉がつくのに11か月
しっかり立つ、ちょっと歩くことが出来る筋肉がつくのに12か月
勝手に定義、思い出していただけますか?
インナーマッスルとは「重力に抗して俺は(私は)人のままでいたいんだ!」という時に頑張る筋肉です。
→地球の引力に負けずに人のかたちとして骨組みを維持する筋肉
アウターマッスルは「俺は(私は)人として何かを頑張るんだ!」という時に頑張る筋肉。
→手足バタバタや寝返りやハイハイや歩いたり、人として動く時に頑張る筋肉
で、当然のこと
アウターマッスルが「人として何かを頑張る」時に一緒に「そうだね。じゃ、一緒に頑張るよ」というのがインナーマッスル
→人がそれぞれの動きをする時に、人のかたちとしての骨組みがばらばらにならないように頑張る筋肉が「インナーマッスルとして働く筋肉」ということになるかと思います。
といった意味合いです。以上を踏まえてめちゃめちゃマニアックな表現をします。
人は赤ちゃんとして生まれてきた瞬間から地球の引力に抗して動くための筋トレが始まり、1年間のトレーニングを経てやっと「立ち上がる」という人としての特徴である「二足歩行の基礎となる筋力」を獲得するのである。
ちょっとカッコいいでしょ。そう思うと、「かわいい」と思って見ていた赤ちゃんが「カッコよく」見えてきませんか?
(いや、やっぱかわいいですね)
さて、次回はさらにインナーマッスルについて掘り下げてみましょう。