世に定着しているインナーマッスル、アウターマッスルという言葉ですが、厳密な定義はありません。ですので前回、(言っちゃったモン勝ちなので^^;)勝手に定義させていただきました。
インナーマッスルとは「重力に抗して俺は(私は)人の形のままでいたいんだ!」という時に頑張る筋肉。
アウターマッスルは「俺は(私は)人として何かを頑張るんだ!」という時に頑張る筋肉。
そして、アウターマッスルが「人として何かを頑張る」時に一緒に「そうだね。じゃ、人としての骨組みがばらばらにならないように一緒に頑張るよ」というのが「インナーマッスルとして働く」筋肉と呼ばれることになる。
赤ちゃんは生まれた瞬間から1年かけて筋トレをしているとお話しましたが、じゃ「お疲れさんした!」となるかというとそうはいきません。人間としての特徴である二足歩行をするための基礎的な筋力がつくために1年かかったということであって、筋トレはまだまだ続きます。
いつまで続くの、筋トレ?
1年かけて立ち上がったからといって、そのまま立っているわけではありません。
当然、眠たくなったら横になります。横になったら寝返りもします。目が覚めたらちょこんと座ったり、ハイハイしたり、立ち上がったり、つたい歩きしたり、よちよち歩きしたりします。
そのたびごとに色んな筋肉が頑張ります。それぞれの動作をする筋肉と、その動作をする時に人としての骨組みを支える筋肉とが一緒に頑張って。
そんな中「インナーマッスルを鍛える上でこれが一番大事なことなんじゃないかな?」と自分が考える動きがあります。さて、それは何でしょう。
カッチ、カッチ、カッチ・・・それは
「こける」ことです。
て、それこそ「なんでやねん!」ですが、考えてみてください。
皆さん、こけたいですか?いやでしょ?そう。人はこけたくないんです。だって、こけたら痛いですから。人は痛い思いをしたくないんです。
虎穴に入らずんば虎子を得ず
したくなければ、どうしましょう?
そう。こけないように踏ん張るんです。(こけても大丈夫なように受け身をしましょう、なんてツッコミは野暮ですよ。それこそ、自分の体を自在にコントロールできる筋力ありきのお話ですし^^;)
さて、またまた登場のだるま落とし人形。当院では大活躍ですが、今回もポイントはこれ。
この人形の小づちを抜いた状態で床を傾けると、人形はいとも簡単に崩れます。ざっくり言うと、人の背骨は同じ構造ですから、小づちにあたるものが無いと背骨はバラバラと崩れます。
「お!てことは、その小づちにあたるのがインナーマッスルか」と思われる方。勘はいいけど、ちょっと早とちりかな?
というのもだるま落とし人形の場合、小づちがあると人形としての形は崩れませんが、人形の形のまま倒れてしまいます。人に置き換えた場合、背骨を支えるものが「小づち」のようなものであったなら背骨はバラバラにはなりませんが、床が傾いたらそのままの状態でこけてしまいます。こけたら痛いんです。人は痛い思いをしたくないんです。
人の場合こけないように一番頑張るのは脚の筋肉ですが、じゃ、脚だけでいいのかというと違いますよね。床が傾くというのは実生活ではあまりありませんので、つまづいたりしてバランスを崩すと置き換えてみましょう。
つまづいたらこけなように踏ん張ります。踏ん張りますが、背骨が小づちが入っただるま落とし人形のような状態だったらどうでしょう?
例えば、いったん前のめりになったらそのまま上半身が倒れたままです。では、前につんのめらないように踏ん張った脚の力がそのまま背骨に伝わってきたら、今度は反動でそのまま後ろに倒れるでしょう。
要は、前のめりになったらなり過ぎないように背骨を後ろにひっぱたり、後ろに倒れそうになったらならないように背骨を前にひっぱたりしないといけません。それも、だるま落とし人形のような構造の背骨が、あたかも一本の釣り竿であるかのようにしなやかに。
背骨に限らず、人が人としての骨組みを維持したままこけないようにバランスをとるのがインナーマッスル。その骨組みにささえられて踏ん張っている脚の筋肉はアウターマッスルです。
勝手に定義、思い出して下さい。
インナーマッスルとは「重力に抗して俺は(私は)人の形のままでいたいんだ!」という時に頑張る筋肉。
アウターマッスルは「俺は(私は)人として何かを頑張るんだ!」という時に頑張る筋肉。
で、当然のことアウターマッスルが「人として何かを頑張る」時に一緒に「そうだね。じゃ、人としての骨組みがばらばらにならないように一緒に頑張るよ」というのがインナーマッスル。
いかがです?なんとなくご理解いただけたでしょうか?
インナーマッスルが強すぎると吉本新喜劇には入れない?
改めてになりますが、ですので「これとこれはインナーマッスルで、これやこれはアウターマッスルです」という分け方ではなく、「こういう時にこの筋肉はインナーマッスルとして働いて、この筋肉はアウターマッスルとして働きます」という言い方がより正確ではないかなと考えています。
さらに言い換えると、インナーマッスルは「こけないように踏ん張る」時にこそ力を発揮する筋肉です。
桑原師匠がボケたらしっかりこけることが団員さんのつとめですから、こけられないと吉本新喜劇では使ってもらえませんよ。
筋肉は負荷がかかることでトレーニングされ鍛えられます。
力こぶ(上腕二頭筋)は、ダンベルが床に落ちないように頑張る筋肉です。
とすると、インナーマッスルは体がこけないように踏ん張る時にこそ鍛えられています。
「赤ちゃんがインナーマッスルを鍛えるのに一番大事な動作はこけること」
と書きましたが、ある意味逆説的な言い方です。
「こけないように踏ん張るにこそ鍛えられる」からこそ「少しでも多くこける体験を重ねることが大事」だと思うんです。
虎穴に入らずんば虎子を得ず
ここまで、定まっていないインナーマッスルというものの定義についてお話してきました。
相変わらずまとまらない話ですみません。けど、次回はいよいよ「インナーマッスルを鍛える」に迫ってみたいと思います。