大人はどうすんの?
そうなんです、すっかり忘れてました。
じゃ、お聞きします。
なぜ鍛えたいんですか?
「・・・・・・・」
合コンでよくある、「ねぇ、いくつぅ?」「いくつに見えるぅ?」って質問返しみたいですみません(^^;
「この筋肉はインナーマッスルです」という筋肉は解剖学上、学問上ありません。「これこれこういう動作の時にこの筋肉はインナーマッスルとして働きます」ということが出来るだけです。それを踏まえて改めてお聞きします。
「なぜ鍛えたいんですか?」そして「どこを鍛えたいんですか?」と。
すみません、冒頭から意地悪な物言いで(^^;
巷で言われるのは、その説が正しいかどうかは横に置いておいて
「姿勢が悪いと体に不調が起きる」
→「いい姿勢であれば不調は起きない」
→「いい姿勢をするにはインナーマッスルを鍛えましょう」てことですよね?
なんなら「姿勢が悪いと太りやすい」なんてのもあります。
(じゃ、痩せてる人はみな姿勢がいいのかよ!とツッコミたくなるのですが・・・)
ま、悪い姿勢として頭に浮かぶとしたら下のような状態でしょうか?
確かに背中が丸くなっていると、腰は常に釣り竿の根元のようなテンションがかかり、肩や首にはつまったような状態になりますから、どこかしらに痛みやツラさはあることでしょう。なんなら胸も閉じた状態になりますから呼吸も浅く体がシンドイなんてことも。
じゃ、この原因はというと・・・分かりません。
なぜこんなになったか。「おそらく、こういう姿勢でいたからなんでしょう」が正解です。
じゃ、この姿勢を改善するにはどうすればいいか?
いい姿勢の時に働いていて(縮んでいて)、この姿勢の時に働いていない(伸びている)筋肉は何かというと・・・色々ありますが、体全体として考えた場合それは腸腰筋(腸骨筋と大腰筋の二つを合わせてこう呼びます)です。
いい姿勢のためにはどの筋肉をどうするといいの?
この筋肉は背骨の腰の部分と太ももの付け根内側を骨盤を介してつないでいる筋肉です。
この筋肉が縮むと股関節を中心に体を折りたたむ方向に働くのですが、ただ単に折りたたむのではなく、おへそを前に突き出すように折りたたみます。
イスに座った状態だとこうです。どうです?いい姿勢でしょ?
要は、この筋肉が働いていない(筋肉を縮ませることが出来ていない)から背中が丸くなっちゃうんですね。
とすると、この筋肉の鍛え方はというとこうです。
けど、実はこの筋肉だけでは不十分。
人をガイコツでイメージしてみましょう。
頭があって首があって肋骨があって腰骨があって骨盤です。肋骨という大きな箱状の骨組みと骨盤という大きな器のような骨組みの間は腰骨しかありません。
いくら大腰筋を鍛えて腰骨を反らすことが出来てもお腹や脇には柱となる骨がありません。
とするとコルセットのような働きをするものが必要となります。
それが腹横筋です。お腹周りの筋肉は三重層になっていて、その一番奥が腹横筋です。
で、この筋肉はどんな時に働くのか?
試しに立って、わき腹に手を当て親指と人差し指でグッと押さえて下さい。
で、大きく息をすってぇ、フ――――っと吐きましょう。
思いっきりです。「もうこれ以上無理っ」ていうくらい。
関根勤さんが千葉真一さんのモノマネをする時みたく(古)。
固くなりませんか?これです。
息を吐こうとわき腹をギュッと引き締める筋肉が腹横筋です。
「けど、普段そんなに息を強く吐くことないぞ」とおっしゃられるでしょう。そうです。
実はこの筋肉、無意識に働いてくれています。
試しにもう一度同じカッコウで立ってみましょう。
脇を手ではさんで、体を左に倒しましょうか?
どうです?右の脇、固くなってません?
そう。体が左に倒れ過ぎないように右に引っ張ってくれています。
体が左に倒れようとする「重力に抗して」。立派にインナーマッスルとして働いてくれる筋肉です。
つまり、大腰筋で背骨を反らし、腹横筋でお腹を引きしめることでいい姿勢が完成します。
腸骨筋の鍛え方はこう。
腹横筋は?そう腹式呼吸です。
腹式呼吸と体幹トレーニングというと頭に浮かぶのはヨガやピラティスですが、これらのトレーニングで今まで使えてなかったものを使えるようにするにはものすごく時間がかかります。
時間がかかるからナニすんの?楽トレです(^^)・・・バリバリの宣伝です
じゃぁ、どうするか?そこで当院では楽トレをお勧めしています。
30分間寝ているだけですが、その間中なんと9,000回これらの筋肉が動かされまくります。電気刺激で勝手に伸び縮みさせられる。言い換えるなら、ひたすら30分間無理やり柔軟体操させられるような機械です。
固くなった筋肉は、その筋肉が伸びる限界以上に伸ばされたり、縮められる以上に縮められると「痛み」として感じます。
筋肉が「それ以上伸ばさないでー!」と悲鳴をあげているのは、赤ちゃんがこけないように頑張っている状態。
「伸ばされないように縮もうとする時にこそ働く」のがいわゆるインナーマッスルですから、ぱっと見寝ているだけに見えますが腸骨筋と腹横筋は動かされまくっている状態なんです。
間違えてはいけないのはトレーニングではあるけれど「決して筋肉を太くすることが目的ではない」ということです。
ダンベルカールで力こぶが大きくなる・・・というようなトレーニングではありません。
もちろん多少は太くなるでしょうが、大切なのは柔軟性です。
いかにしなやかに動くかが大切で、どれだけ筋力を強化しても固くなってはいけません。
釣り竿のようなしなやかさが大切なのであって、ガチガチであってはならないのがいわゆるインナーマッスルです。
ちなみにですが、腸腰筋が固くなると股関節を折りたたむ方向に働く力が強くなりますので下の絵のような反り腰状態になりがちです。
どうです?腰、ツラそうでしょ?
繰り返しになりますが、赤ちゃんが一年かけて一人で立ち、そこから普通に生活し、体が大きくなりながら走ったりこけたり遊んだりしていれば、言い換えると普通の人が普通に生活していれば、普通に生活するためのインナーマッスルは十分に出来上がります。
悔しいですが、お肌は年齢を重ねるとハリがなくなります。
同じように、筋力は年齢を重ねると柔軟性が落ちてくるんです。
インナーマッスルは強いか弱いかではなく、固いか柔らかいかが重要なんです。
(インナーマッスルを鍛えるって その2 を御参照ください)
この章の初めに質問返しをしました。
「大人はどうすんの?」という問いに対して
「なぜ鍛えたいんですか?」そして「どこを鍛えたいんですか?」と。
お答えします。
1)「楽しくスポーツしたいのよ」
了解。そのスポーツを楽しみましょう。インナーマッスルは勝手に鍛えられます。
2)「今以上にスポーツを上達させたいんだよ」
了解。練習量を増やしましょう。インナーマッスルは勝手に鍛えられます。
3)「そのスポーツのトップレベルで争いたいんです」
了解。とすると、インナーマッスルを鍛えるのもいいですね。じゃぁ、どの筋肉がインナーマッスルとして大切か分析していきましょう。話はそこからです。
そして、いいですか?1)2)3)のどのレベルであっても、大切なのは柔軟性です。固いとケガのもとです。
4)「いい姿勢でいたいのよ」
了解。じゃ、まずは楽トレでインナーマッスルを柔らかく使えるようにしましょう。その上で、あなたがいい姿勢を維持するために必要な筋肉を鍛えたり、固くなっているがためにあなたがいい姿勢を維持するのを邪魔している筋肉を柔らかくしましょう。楽トレは、電気による伸び縮み刺激に負けないように30分間頑張ることで、より効率的にインナーマッスルとして働く筋肉の柔軟性が向上される唯一の機械です。
*「ただし!」最後の最後に水をさしちゃいます(^^;。
私は思います。
じゃ、いい姿勢だと何の問題もないの?
何の痛みも起きないの?
何の病気にもならないの?
それこそ、いい姿勢だと太らないの?なんです。
言っちゃなんですが、人の体はそんな単純なものじゃありません。あなたの悩みにはあなた特有の理由があります。我々治療家はそこを探り出し、原因を解決し、あなたのお悩みを解決に導くためにいるんです。私の場合は「痛み」です。いい姿勢であっても「あそこが痛い、ここがツラい」では何の意味もないですもんね。
「インナーマッスルを鍛えるって?」シリーズ、最後はバリバリの宣伝でした。
長い間お付き合いいただき、誠にありがとうございました。またのシリーズを楽しみにお待ちください。