ショートショートの神様・星新先生もビックリの「わらしべ長者」を一つ。
“ゴミ”拾ったら“うずしおパイ”になりました。
めでたしめでたし。
先日、お昼の外出から戻ったら、院の前の道路から院の玄関先までゴミがワッサーーーっと散らばっていたんです。道路は、距離にすると一番遠い所で30メートルくらいに渡って。
こういう時に何を思うかって、日ごろの行い的なものが出ますね。
先ず思ったのが
「うわっ!嫌がらせか?」
要は
(って、思い当たるフシがあんのかっ!)
ってことの裏返しですが、次の瞬間
「んにゃ、ここまでされなアカンようなことはしてへんぞ」
と冷静になり、よくよく見ると何かの書類や参考書的なもの。
手に取ってみると、介護関係の書籍や資料でした。
「何かのきっかけで車から落ちたにしても、この散乱具合はキッツイなぁ」
こういう場合、大谷翔平君なら特に何も思わず掃除しちゃうんでしょうけど、オッサンは違いました。
「こんなんほっといたら、めっちゃ印象悪いやん。かなわんなぁ、掃除せなアカンやんけ」
で、集めていると見るとはなしに目にはいっちゃいます。
「ん?名前や住所に電話番号とか書いたのがあるぞ」
後でそれは介護施設の代表の方や連絡先だったというのが分かるのですが、
「こりゃ、やっぱ連絡だけはしとかなアカンよなぁ」
ということでお電話したところ、
「えぇ――っ!そうだったんですね。申し訳ございません。古い書類を処分しようと、トラックに積んで運んでたのが散らばってしまったんだと思うんです。ホントお手数おかけしました。」
と、かえってこちらが恐縮しちゃうくらいのお声が。
「あ、いえ、とんでもないです。どうしましょう?お名前や住所があるので、勝手にこちらで処分するのもどうかと・・・」
「いえいえ、取りにお伺いさせていただきます。」
で、“うずしおパイ”となりました。
視覚障害をお持ちの方向けの介護施設でらっしゃるとのこと。
色々とお話をお聞かせいただきました。
「お互い、これをご縁になんていうとおかしいですが、何かありましたらよろしくお願いいたします。」
“うずしおパイ”以上のものを頂けた。そんな気持ちです。
わらしべ長者 令和・今治編