初めてです。こんな思いでお断りしたのは(TT)

「3月1日に“痛っ”となって、今日がピークなんすよ」

と、7日に来られた患者様。仮に深田さんてことにしましょう。

THE・ぎっくり腰状態です。

40歳手前の男性、大型トラックの運転手さんをしてらっしゃるとのこと。

ものすごく失礼な事を承知の上であくまで例えるなら、こういうお姿でした。

夕方、ご来院されたのですが、問診票のご記入をと思ったのですが、

「どんなですか?問診票をと思うのですが、座って頂くのは・・・」

「あ、いや・・・、ちょっと、厳しいっすね」

「わかりました。じゃ、早速こちらへ」

ということでお話を聞きながら施術を開始。

え!問診とか検査も無しに!?

と思われるかも知れませんが、ご来院されたお姿と、座ってるのもツラいということで、お話を聞きながら「よっしゃ!とりあえずは、ココとココを」とハイボルト治療。

お話によると、長年大型トラックの運転手をされてるとのこと。

で、終日座っている姿勢でいる事が多いとのこと。

で、今回痛くなったのは、そのトラックから降りようとした時だったとのこと

で、座っているのもツラい腰痛で、痛みが激しい場所が、「ベルトよりも少し下、腰と言うより、お尻の上の方」

「どうですか?先ずは、ベッドから立ってみましょうか。腕を心張棒みたいに膝を押しながら・・・そう、そうです」

「あ、立てますね」

「腰、伸ばせます?」

「う、うんしょ、立てますね。あ、さっきより楽です」

「じゃ、座ってみましょうか。慎重にね」

「あ、はい・・・あ、いけます」

「大丈夫そうですかね?とすると、机持ってきますから、改めて問診票お願いしてもいいですか?」

「はい、いけそうです」

「けど、あれですよ。原因が〇〇ですので、しばらく時間が経つと痛みが出て来るかも知れません。ツラかったら、すぐ言って下さいね」

「はい」

ということで、問診票をご記入いただいて驚きました。

「え!松山からですか?」

ご住所が松山市だったんです。

「はい。今、現場がコッチ(今治)方面なんすよ」

 

アチャァ・・・参ったな(心の叫び)

「とすると、今日はこの後松山へ?」

「そうっすね」

・・・よし!正直言っておこう・・・

「今、かれこれ10分弱お座り頂いたままなんですが、どんなです?大丈夫です」

「はい」

「じゃ、また、立っていただくんですが、慎重にお願いしますね。先に言い訳しますけど、多分痛いと思うんですよ

「あ、はい・・・(で、立とうとされて)痛っ!」

うわぁ、やっぱりか(TT)

「深田さん、申し訳ないけど、○○が原因の場合、ジッとしているのはいいんですが、その後動き始めがめっちゃ痛いんです。痛みがない時や軽い時は、適当に動いている方が良くなるケースが多いんですが、深田さんの○○の場合、お仕事がらズーっと縮んだ状態で固くなってらして、それが今回がきっかけで痛みを起してますから、○○が改善されるまではなかなか・・・特に、毎日松山と今治の往復(車で約一時間半弱)があるでしょ?要は、最低でも毎日3時間弱はジッと座ってる時間○○が固くなっちゃいます。出来ることなら、ご自宅お近くの病院なりこういう治療院で治療しながら数日は安静にしてもらっている方がいいんですが・・・そうはいかないですよね」

「・・・そうっすね。仕事がコッチなもんで・・・(と、痛そうな感じ)」

「分かりました。じゃ、お仕事終わり、出来るだけ毎日来て下さい。〇〇が固くなるのと、治療との追っかけっこになりますけど、お仕事お休み出来ない限り仕方ないですね」

「あ、はい・・・」

「じゃ、もいっぺん、治療しますね。で、それでまた立てるなら、原因は○○なのが確定ですし、座りっぱなしでいた後は必ず痛みが戻りますから、そこはご理解下さいね」

で、再び施術。

「はい、どうですか?また、立ってみましょうか。腕で心張棒しながら・・・」

「あ、立てますね」

「じゃ、ちょっと歩いてみましょうか」

「・・・あ、いけますね。さっきより楽です」

「じゃ、これで今日は終わりますけど、この後、車(自家用車はセダンタイプ)に乗り込む際や降りる時は、ちょっと覚悟しながらして下さい。あと、夜中のトイレとか寝返り、で、朝起きる時。必ず痛いですから」

「はい・・・」

 

ということで、初日はお帰りになりました。で、翌朝。

プルルルル、プルルルルと院の電話が。

「先生、深田です」

「あ、おはようございます。ど、どうですか?今朝起きられました」

「いやぁ、昨日のあの後痛かったんです。なんなら今まで一番痛いっすね

えぇーーー!あの後って、すぐぅーーー?(心の叫び)

「え!あの後って言うと?」

「家帰って、ソファーで寝そべって、立とうとした時っすね」

 

わちゃぁぁぁ!ソファーかぁぁぁ!

 

「そうなんですね。それまではどうでした?家着いて車降りて・・・」

「まぁ、それまではまぁまぁやったんすけどね」

(まぁまぁやったんかい!)

 

「今日も行った方がいいですかね?」

「そうですね、出来れば・・・というのも、昨日お伝えしたように『ジッとする時間が続いた後の動きだし』で痛みが激しくなったってことは、○○が原因だっちゅうことですから。とは言え、松山からだと・・・」

「いや、今もう今治なんすよ」

(マジでーーー!ま、それがお仕事っちゃぁお仕事ですもんね。)

「けど、先生。これが『もみ返し』ってヤツですか?」

「うぅ~ん、『もみ返し』かどうかは分からないんですが、ただ、それだけ原因が根深い(根強い)という事だとは思うんです」

「はい」

「じゃ、また、気を付けてお出でてください。

やっぱりかとは思ってましたが、せっかくご来院いただいたのに、もしかしたら「かえって悪くなった」という思いをさせてしまったのでは・・・いや、ご連絡いただいたということは、そんな悪い印象をお持ちではないということなのかも・・・

自分、結構「気にしぃ」なんです。こういう事があると、かなり引きずりがちです。

で、夕方またご来院。

当然、歩き方やお姿は「THE・ぎっくり腰」。しかも、お電話の通りに昨日よりもツラそうです。

 

で、施術。

で、再び改善。

「あ、歩けます。いいっすね」

「ありがとうございます。けど深田さん。昨日と同じで、申し訳ないけど、先に言い訳みたいになりますが、毎日今治松山の往復生活だと・・・厳しいですよ」

 

院を出られる後ろ姿は「ぎっくり腰?どこ吹く風」状態でした。

翌朝、プルルルル、プルルルルと院の電話が。

も、もしや・・・けど、その「もしや」でした。

 

「あ、先生、深田です」

「おはようございます。で、どんなでした?」

「いやぁ、昨日の晩、救急車呼んだんです」

えぇーーー!マジっすか!

おぉー、神よぉ(TT)

「夜中、トイレ行こう思って立とうとしたら激痛で、動けんくなって」

「うわぁ、で、病院ですよね。検査とかして下さいました」

「はい。で、CT言うんですか?あれもしてもろたんやけど、特に異常はないって・・・」

 

な!だろ?

レントゲンや画像では分からない事が原因やねん。それが○○やから、ジッとした後、気ぃつけろ言うたやろがいっ!(という心の叫び)

 

「で、どうですか?痛み止めのお注射なりお薬は出ました?」

「はい、飲み薬もろたんやけど、効いてないっすね」

「とすると、『明日、また来てください』とかは?」

「それも無いっす」

 

おいおい、せめてそのくらい言えよ!病院!(心の叫び)

 

「で、今日も行っていいですか?」

「今、どちらですか?」

「今は松山です」

「(よし!そうやろ。そうであってくれ思てたわ)いや。とすると、車に乗れたとしても、また往復で約3時間ありますし、車が揺れただけでも激痛が走るはず。それで運転あやまって事故なんてことになったらあきません。それこそ、お近くの病院、ペインクリニック的な痛みに特化してらっしゃる病院なり、こういう治療院の方が・・・いや、決して『ウチに来るな!』言うてるワケじゃないんですよ。ただ、繰り返しになりますけど、深田さんの場合、ジッとしている時間が長ければ長いほど治るのが遅くなるけど、じゃぁ、動けるか?というと今は動くのが、動くために立つことがおツライ状態なはず。とするなら、先ずは痛み止めのお注射ででも痛みを何とかすることが先決ですから」

「・・・はぁ、そんなもんすかねぇ・・・」

「はい、ホント、せっかくウチを選んで下さったのに申し訳ありません。今の深田さんの痛みには、思うようにお役に立てないと思うんです」

こんな気持ちです

まさに、こんな思いです。

実は、ほぼ同時期に、他にもぎっくり腰の方がご来院になられてました。

65歳の男性なのですが、その方も通勤時間が(深田さんに比べると半分の)40分強ありました。ただ、お勤め先がガソリンスタンドで、何だかんだでウロウロ出来る環境でした。

通勤でのお車の乗り降りはちょっと厳しかったそうですが、日中何だかんだすることが出来、痛みが軽い時にして欲しいちょっとした体操なんかも自由に出来たそうで、3回のご来院で「卒業」されました。

痛みの原因とすると、その方と深田さんは同じ場所で、なんならその方の方がご高齢なのですが、治りは全然違いました。

それだけ、日常生活がどういう状況なのかは大きなポイントなんです。

もちろん、年齢がお若いことに越したことはありませんが、若いからいい、歳をとってるからダメなんて単純な事ではありません。

 

よく聞く話に

「病院で、『加齢』だから仕方ないって言われました」

というのがありますが、人は誰でも生まれた瞬間から加齢します。減齢した、なんて人を聞いたことがありません。

原因が必ずあるんです。

その原因が「年を重ねることで長引いて、根深いものになっている」という意味で「加齢が原因」という言葉を全否定はしませんが、何でもかんでも加齢のせいにするのは違うと考えます。

 

イカン、話が逸れてしまいました。

 

ただ単に、「コイツ嫌いだ!」とか「この症状、メンドクセー」じゃなく、「来てもらいたいのに、来てもらうだけ痛みが解消する時期が遠のく」からご来院をお断りしました。

こんな経験は初めてでした、というお話でした。