ものっスゴク正直に言うと、本当です。
「え?そんな事言うてええの?」
と思われるでしょうけど、膝難しいっす。
腰痛・坐骨神経痛専門を謳っていると、結構な割合でご高齢の方が来られます。で、ご想像に難くないでしょうが、結構な割合でお膝の悩みもお持ちの方がおられます。
そういう皆さんのお話をお聞きしていると、これまた結構な割合で
「レントゲン撮ったら軟骨がすり減っとると言われてねぇ」
とのこと。
ひねくれ者の自分などは、そういうお話をお聞きするたびに
「(ん?)」
と思うんです。
「何が(ん?)やねん。レントゲン見てお医者さんが言よんじゃから、軟骨が減っとるから痛いんじゃろ?」
と思われるでしょうけど、一応言っておきますね。
軟骨って神経の分布はない(神経が通ってない)はずなんです。
(「はず」ってのが結構キーワードです)
公益法人 日本整形外科学会さんのHPにも
>関節表面を覆う関節軟骨は軟骨細胞と関節外の2型コラーゲンとプロテオグリカン(糖タンパク)が主成分です。関節軟骨には血行や神経線維の分布はありません。
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/osteoarthritis.html
って、書いてます。
だって、そうでしょ?
羽生結弦選手があんな固い氷の上で何回転もジャンプして着地する時の衝撃ってどんなでしょう?
内村航平選手が跳馬で着地決めた時の衝撃ってどんなでしょう?
その度に膝にはスゴイ衝撃が加わってるはずです。
けど、痛そうな顔してるの見たことあります?
それこそ膝どころか、足首、背骨、首・・・一回跳ぶごとに激痛にのたうち回ってないとおかしくないですか?
で、上のHPをしっかり読んでみると、こう書かれています。
>関節症では機械的刺激などにより軟骨の変性・摩耗を生じ、また関節周囲を取り囲む滑膜の炎症が併発して変背が加速します。同時に関節周囲の骨軟骨形成などの増殖性変性を伴うこともあります。それらの変化により血管増生や神経線維の増生を伴う関節包の線維化が起こり痛みが感じやすくなります
難しいですね。
ザックリ、ザックリですよ。ザックリ言うと、
「軟骨がすり減ることで様々な変化が起きて、それが痛みを起すんです」
と書かれているんです。
特に一行目
「関節症では機械的刺激などにより軟骨の変性・摩耗を生じ、また関節周囲を取り囲む滑膜の炎症が併発して変背が加速します」とありますが、
「機械的刺激などにより軟骨の変性・摩耗」が痛みを生じるとは書いていないんです。
「機械的刺激などにより軟骨の変性・摩耗」や「それらの変化により」「血管増生や神経線維の増生を伴う関節包の線維化が起こり痛みが感じやすくなります」とあるんです。
とすると、こんな疑問が浮かぶんです
- なぜ、軟骨がすり減るような事がおきたのか?
- 軟骨がすり減ったことで関節包(その内側の滑膜)に炎症を起こす、どんなことが起きてるのか?ていうか、炎症が起きてるのは軟骨じゃなく、滑膜(関節包の内側)ってことなの?
- 軟骨がすり減ったことが原因で、関節周囲の骨軟骨形成などで増殖性変性が起きて、それによって血管増生や神経線維の増生を伴う関節包の線維化が起こり痛みが感じやすくなるというのなら、痛みが感じやすくなっているのは関節包(関節を包むサランラップみたいな膜)であって、軟骨ではないってことじゃないの?
(軟骨すり減る→関節周囲で様々な変化→血管や神経が増えながら関節包が固くなるので→痛み)
言い換えるなら、
痛みが起きているのはすり減った軟骨じゃなく、
軟骨がすり減ったことで【しわ寄せが来ている=炎症が起きている】関節包(特にその内側の滑膜)でしょ?
てことは、その炎症が起きている原因を取り除けば、お膝の痛みは解決するんじゃありませんか?
ただ、じゃぁ、その原因が何なの?ということになります。
HPの文言を素直に読むなら、三つあります。
ア)一つ目は「機械的刺激などにより軟骨の変性・摩耗」です。要は「膝への負担」です。
歩く、立つ、しゃがむ、階段の昇り降り・・・とはいっても、これらを全くしないワケにはいきません。生活出来ませんし、脚の筋力が退化しちゃいます。たとえそれで痛みが改善したとしても、その時果たして普通の生活が出来るのか?いや、歩いたらソッコーで痛みが起きるんじゃないでしょうか?とすると、どうでしょう?対策とすると、サポーターなどで膝周囲の筋肉に圧迫をかけて筋肉の補強をする・・・くらいでしょうか?
イ)二つ目は「関節周囲の骨軟骨形成などの増殖性変性」です。
「え?軟骨が減ってるのに『骨軟骨形成、増殖』???」
と思われますよね。これは、軟骨が増えるんじゃなくて、すり減った軟骨の【しわ寄せ】が軟骨じゃない部分の骨に起きて変形しちゃうような場合です。
骨棘(こつきょく)と呼ばれる、ちっちゃな棘(とげ)が出来ちゃうことがよくあるんです。
(野球選手が一生懸命バット振ってると手にマメが出来る、あんな感じじゃないかと思ってます)
この棘が関節包(滑膜)をチクッと刺激して「痛ぇっ!」となったり、それが炎症反応としてしばらく続くんじゃなでしょうか?とすると、この骨棘を取り除くことが対策でしょうね。
あと、場合によったら、野球選手の肘に起こるような「関節ネズミ」みたいなことも起きてるかも知れません。これも、欠けた軟骨を取り除くしかないでしょうね。
ウ)三つ目は「血管増生や神経線維の増生を伴う関節包の線維化」です。
難しい言葉ですが、「関節包の線維化」が問題だということだと思われます。膝に限らず関節は曲げ伸ばし(屈曲・伸展)など、動く場所です。それをカバーする膜は当然ですが柔軟性が必要ですよね。本来なら自由に伸び縮みするサランラップのような包みが固くなってしまう(柔軟性が落ちる)ことで「関節包の線維化が起こり痛みが感じやすく」なると言っているんです。とすると、関節包の柔軟性を回復させてあげることが痛み改善のポイントですね。
原因ア)イ)ウ)から解決策をまとめると、
ア)は「負担をかけるな」ですが、日常生活を送る上でそれはかなり難しい
イ)は手術が唯一の選択肢
ウ)は関節包(滑膜)の柔軟性を回復させればいい。方法とすると、膝周囲の血行を良くする、またそれを邪魔しているもの(大半は固くなっている筋肉かと)をほぐす、になります。
「じゃ、ウ)すればいいじゃんw」と思われるでしょうけど、ウ)が単独で起きていたらそれでいいんですが、ア)やイ)の結果、もしくは同時にウ)が起きているケースが多いのではないでしょうか?
もしかすると、ウ)が改善出来れば関節包の内側にある滑膜からの滑液の供給が豊富になり、軟骨に限らず関節を構成する様々な部分への負担が減り=ア)が改善し、イ)が起きていない膝の痛みは解消するかも知れません。
ただ、あくまで「かも知れません」としか、今の自分では言えないのが正直な所です。
というのも、お膝の痛みって「軟骨がすり減った」事だけが原因で起きるワケではないからです。
鵞足炎という症状がありますが、痛みの場所的には軟骨云々と違うのですが、鵞足を構成する筋肉が関節部分で炎症を起こしている可能性もあるんです。
また、大腿筋膜張筋という筋肉があります。この筋肉が固くなっているとあぐらをかきにくくなったり、進行すると「ガニ股」の原因にもなったりするのですが、これが膝の外側を通って脛の外側についているので、その部分での痛みや他の所で【しわ寄せ】のような痛みを起すことがあります。(女の子座りをしがちな人はご注意を)
「正座がしにくいの」という方も結構おられます。実は「正座」など、膝を折りたたむ動作ってかなり複雑なんです。「正座」する時イメージしてみて下さい。つま先は少し内側にねじれません?
専門用語で言うと「下腿の内旋」といって、つま先を内側にひねる動作のことなんです。とすると、逆につま先を外側にひねる(下腿の外旋)筋肉が固くなっていると正座やしゃがむ動作がしづらくなります。上に書いた大腿筋膜張筋や太もも裏側の大腿二頭筋がそれに当たります。
もちろん、スポーツなどでのケガ(半月板や靭帯の損傷)も膝の痛みの原因です。いやいや、そのケガが遠因でア)イ)ウ)のような事が起きているのかもしれません。
いや、単純に太もも前側の筋肉が固くなっているのかも。太もも前側の筋肉は大腿四頭筋と呼ばれるのですが、この筋肉はサッカーボールを蹴る時の動作、膝をピーン!と伸ばす時にギュッと縮みます。
逆に固くなっていると膝を曲げる動作で膝のお皿(膝蓋骨)周囲に【しわよせ】のような痛みが起こります。しゃがむ、立ち上がる、階段の上り下りなどです。
目の前の患者様のお膝の痛みが、これらのどれに当たるのかを見極めて施術・・・ね。
めっさ、難しそうでしょ?
「じゃ、諦めるの?」と問われると、根がアホなもので逆にやる気が湧いてくるんです。
いつ頃からどんな風に痛くなってきました?今はどんな時に痛みます?または楽ですか?
で、施術させていただいて
どんな?いい感じ?だったら、これを続けましょう?で、壁にぶち当たったら、他の原因の可能性を考えましょう。
あんまり良くない?じゃ、他の原因を考えましょう。で、施術。いい感じ?だったら・・・
これの繰り返しにお付き合い頂けるなら、とことんお膝に向き合いますよ。
あ、だけどイ)の方や、それこそ軟骨が全く無くなっていて(軟骨じゃない)骨どうしがぶつかって痛い方は手術の方が早いですからね。