お昼休み、電話が入りました。
「先生、聞いて。1万8千歩も歩けたんよ」
6月から来られてたK.T.(60代女性)さんからでした。
まぁ、ご来院された当初は
「(どしたん、そないに・・・)」
と、こちらが心配になるくらい暗ぁい印象の奥様から、女子高生のような弾んだお声のお電話。
初診時のお話では
「息子に、『とりあえずは診てもらい』と言われて来たんですが、去年の暮辺りから腰や脚がツラくて15分と歩けないんです(この時点で半年間、お悩みでした)」
とのことでした。
「ネットで調べたら『脊柱管狭窄症』て出てて、手術も怖いし・・・」
色々、お話をお聞きしたのですが、まぁ、聞いているこちらも沈みそうになるくらいにおツラそうでした。
病院でも「手術も視野に」みたいな事を言われてらしたようで、ご本人も相当落ち込んでらっしゃいました。
ただ、こういう場合、アホな自分は燃えるんです。
「(フムフム、手術も検討せなアカンような脊柱管狭窄症っすね。けど、ちょっと待ってよ。何かしら出来る事はないかいな。ワクワク)」と。
考えるポイントとすると
1,まず、腰痛や痛みの出方を問診を元に検査
2,「歩けない」理由の分解
3,施術
4,術後の感想(こちらの所見も大事ですが、大事なのは患者様の感じ方)
です。
で、特に重視しているのが
2,「歩けない」理由の分解です。
「痛くて歩きたくない」のか、「歩こうとしても脚に力が入らない」のか、もしくは「両方」なのか。
これ、患者様ご自身もあまり整理して考えたことがない人が多いんです。
ましてや、(自分の体験からの感想ですが)患者様を診て診断をされたお医者様も。
「歩こうとしても脚に力が入らない」場合は、当院の施術の方針と改善の流れをご説明しますが、やはりお医者様としっかり相談されることをお勧めはします。麻痺が起こっている可能性(神経が障害されている危険性)があるからです。
K.T.さんは主に「痛くて歩けない」でした。
とすると、俄然やる気スイッチが入ります。
以下、カルテの記録を元に
6/13 初診
6/17 「腰の左側に痛みがやや残るも、治ったかと思った」
6/20 「今朝、台所で1時間15分立ったままでいられた」
6/23 「仕事(事務仕事)で座ってるのが楽になった」
6/27 「仕事終わりにちょっと痛むことがあるけど、すぐに回復してる」
その後、お仕事での疲れや体調によっては痛みが現れることがありましたが、特に大きな後退はなく順調に推移されていました。
そうこうしていると、
「先生、実はあまり眠れないんです。病院では『ストレスで自律神経失調症かも』と言われてるんですよねぇ」
とのこと。
「(おいおい、もっと早よぉ言って。それこそ、治療やってみる価値あるよ)」
とまたまた、やる気スイッチオン!
7/11にその施術を始めて、一週間後には
「眠れるようになった」と。で、そのさらに一週間後には
「先生、どないしょ。こないだ、10時間寝てたわw」
腰痛と睡眠、一見関係無さそうですが、ボクの中は“風が吹けば桶屋が儲かる”的な関連があるんです。
けっこう、K.T.さんと同じような方おられるんですよ。
ご来院されてから、約2か月。
ボク的には「そろそろ“卒業(当院での施術終了)”かな?」という感じでいたのですが、K.T.さん。
なんだかモジモジしながら、
「先生、だいぶ良くなったんやけど、もうちょっと続けてええ?」とのお申し出。
(んなもん、断る理由なんてありませんが)
「もちろん。けど、まだ何か気になるような事が残ってますぅ?」
とお聞きしたところ
「実は・・・、あのぉ、ずいぶん前から、9月に友人と韓国旅行行くことにしてたんです」
「6月の頃は、絶対行けないと思ってたし、行ったとしてもホテルの周りしか動けん思ってたんです」
「でも、今の感じなら、友達にも迷惑かけずに行けそうな気がするんで、もうちょっと良くなっときたいんですよ」
聞けば、(お名前忘れましたが)ナントかという俳優さんの大ファンで、一度は韓国に行ってみたいというのが夢だったんですって。
(なるほど。だから”諦めの境地”に陥ってた6月頃はものすごく暗ぁい空気を漂わせてらしたんですね)
「いいじゃないですか!韓国、ガンガン楽しみましょうよ。地下鉄で色んな所行って、美味しいもん食べて、買い物して、ね!」
それが、8月初めの頃の話で、冒頭のお電話が今月初め。
で、帰国されて見せて下さったのがこれ↓
その時ですか?そりゃぁもう、治療そっちのけでお土産話満載でした。
何度も何度も「ありがとう」を連呼されるK.T.さんですが、何をおっしゃるやら。
何より、18,437歩もビックリなのですが、
歩行距離が12,905mって約13キロじゃないっすか!
それと、平均時速が3.9㎞。
ノンビリ歩いたり、立ち止まったりしてたことがあったことを思うと、かなりシャキシャキ歩けてらしたんですね。
こちらこそ、ありがとうございます。
この瞬間こそが、この仕事の醍醐味です。