その1ではこんなことを書きました。
腰はひねれないんっす。
腰の上下の筋肉が伸び縮みすることで身体全体としてひねって見えるんっす。
ひねりにくい腰痛には腰以外に原因があることが多いんっす、と。
けど、今回は腰そのものにフォーカスしてさらに深堀りしちゃいます。で、ここがクリアになると
「え?じゃ、何だかんだいって結局〇〇筋さえちゃんとしてればいいんじゃね?」
と思っちゃうかもです。
結論から言っちいゃます。それは腸腰筋です。
「え?それ、反らしにくい腰痛に関係するて言うてたんちゃうの?」
ピンポーン!その通りです。その通りなんですが、ひねりにくい腰痛にも関係大ありなんですよ。さて、腸腰筋です。
ヤン坊マー坊天気予報(古ッ^^;)よろしく、腸骨筋と大腰筋の二つを合わせてこう呼びますが、この筋肉をよく見てください。どことどこをつないでいるのか・・・
腸骨筋は骨盤の内側と脚の骨の付け根をつないで、大腰筋は腰骨と脚の骨の付け根をつないでいますね。働きとすると、立った状態だと太ももを引き上げる(股関節の屈曲と言います)動作です。ガラケーの折りたたみ部分(蝶つがい)ですから、ここが固くなると閉じたガラケーが開きにくいように、身体全体としては腰を伸ばす・反らす・イスから立ち上がるなどの動作がしづらくなります。ここまではおさらい。
で、今回の掘り下げです。腸腰筋が脚の骨にひっつく所です。よぉく見て下さい。
ここは解剖学では大腿骨小転子(しょうてんし)と呼ばれるところですが、前後ろで言うとやや後ろ側にあるんです。ここからは少し頭の体操ですよ。
腸腰筋が〇〇してくれたおかげで、我々はおサルさんから人間に・・・?
もし腸腰筋が脚の付け根の前にあったら、この筋肉が働くと太ももをまっすぐ引き上げますね。けど実際にはやや後ろです。腰骨や骨盤から始まった筋肉が脚の骨の付け根に「巻き付くように」ついていますから、この筋肉が働くと実際には太ももが外側に開くように引き上げるんです。ちょうど、あぐらをかくような状態ですね。
解剖学的には股関節の屈曲・外旋と言います。
それにしても、この筋肉は何でまたこんなややこしい付き方してるんでしょう?実はこれ、生物の進化と人類に関係するんです。
「は?また、ワケの分からんことを・・・」
ま、もう少しお付き合い下さい。下の写真はトラです。
で、お猿さんです。
お分かりになられました?「分かるワケゃねぇだろっ!」そりゃそうですね。じゃ、こちらを。
これは人間がよつんばいになった所ですが、人間のここ
が、トラのここ
であり、お猿さんのここ
なんです。
サーカスなどで立ちあがったトラを見たことがあると思いますが、立ったとはいっても人間のような直立ではありません。お猿さんも同じですね。
この筋肉がまっすぐついているから(よつんばいだから)、直立しようとしても腰がグニャリと反っちゃうんです。
では、人間は?そう。
人間はこの筋肉がグニャリと曲がってついてくれているからまっすぐ立つことが出来るんです。
何かの本で読んだところによると、今のアフリカ大陸で暮らしていたご先祖様(お猿さん)が天変地異をきっかけに立ちあがることを余儀なくされて、その能力を備えることが出来た類人猿さんたちが生き残って我々になったとのこと。
その能力(直立する)の一つが、腸腰筋のグニャリとした付き方だったのではないでしょうか?
(さらに言えば、グニャリと曲がって引き伸ばされながら立っている人類にとって、腰痛は永遠の課題なのかも知れませんね)
で、トラさん。ひと休みするとこうなります。
(トラさんの画像がなかったので、一休みしてるニャンコです)
膝が胴体の外側にでます。胴体の下で膝を折りたたんだトラ、見たことありますか?人間だと正座したまま、床に突っ伏す感じでしょうか?
獲物を追って走る時もそうですよね。膝は胴体の外側で動いています。車の後輪のような状態です。
さて、人間です。あぐらもかけますが正座も出来ます。膝を胸にピタッとひっつけた運動会座りも可能です。これは、腸腰筋が他の動物と違う付き方をしてくれているからなんです。
ひねりにくい腰痛と腸腰筋の関係、ここでピンときた人はかなりスルドイです。
(逆にピンとこられちゃうと、ここに気づくのに数年かかってしまった私の立場がないのですが・・・)
で、長くなったので次回に続きます。