「あそこは毎年蜂の巣ぅがあるけん、気ぃつけなアカンよね」
お名前は存じあげないのですが、ひとしきり刈った草を手にしたおばちゃんが、聞こえるように話しながら僕のそばを通り過ぎていきました。
今朝は地元部落のお墓掃除。
それぞれのお家のお墓を、というのではなく、墓地の通路の雑草や、うっそうと茂った木々の枝を切り落として、業者さんに持って行ってもらうという。
お盆を迎える前の、部落総出での墓地全体のお掃除です。
音頭をとる人はいません。
(ちなみに、今年自分は上徳北部落の総代ではあるのですが、だからと言ってナニをするワケでもなく、基本総代さんや他の部落総代さんらに“おんぶにだっこ”状態です)
ただ、例年のごとく、集合時間あたりには皆さん来られてて、電動の芝刈り機を持った人や、草刈鎌を持った人らがそこかしこで雑草や枝を切り始めます。
特に誰かが
「じゃ、始めましょうかー!最初は枝から」
みたいな掛け声・号令のたぐいはありません。
自分は竹ぼうきを熊手しか持って行かなかったもので、最初は手持無沙汰だったのですが、
「(お!じゃぁ、この雑草を熊手で集めて、集積所に持っていこう)」
とガサッ、ガサッ。と、そうこうしていると、それを見ていたオバちゃんが、畳一畳分くらいのブルーシートを持ってきて、
「ほい、これに集めよか」と。
(あ、なるほど)
「はい。じゃ、お願いします」
で、熊手で集めた小枝や雑草をブルーシートに乗せて、それをオバちゃんが集積場へ。
そこへ、となり部落の総代さんの声
「おーい、正岡さん。ハチの巣駆除の薬かスプレー持ってきてないか、曽我部さん(総代長)に聞いてみてくれんー?」
「はい」
プルルルル、プルルルル
「あ、曾我部さん、ハチの巣駆除のスプレーとかありませんか?」
「あぁ、そうか。今日は持ってきてないわぁ。ゴメン言うといてぇ」
「了解です。」
ガチャ
「秋山さーん、持ってきてないんですってー」
「りょーかーい」
と、ちょっとだけ総代さん的なお役目もしつつ、汗だくに。
予め誰が何をするとか、どういう段取りでやる、みたいな決め事はありませんが、小一時間で完了。
電動草刈り機を持ってくる人、草刈り鎌を持ってくる人、自分みたいに竹ぼうきや熊手をもってくる人、ブルーシートを持ってくる人・・・
誰も、事前に
「あんた。これ持ってきて」
と言われてないでしょう。けど、自分ちで出来る事を準備し、当日は誰に言われるでもなく作業を始め、なんだかんだで一仕事終わる。
皆がみんな「お盆前にお墓きれいにしとかなアカンもんね」
という目的を持っているから出来ること。
これを【田舎の同調圧力】とかいうこ難しい言葉で忌避する【意識高い系】の人もいるのでしょう。
ご心配なく。都会暮らしの【意識高い系】のあなた方はここに入らないんでしょ?
根無し草のごとく、都会にずっといらっしゃれば?
あ、総代の役目とすると、産廃業者さんの手配をしたり、来てくれた人に飲んでもらうペットボトルのお茶を準備をしたり・・・とかですね。で、自分は、そのお茶を手分けして渡す人でした。(あんまり、してませんでしたが^^;)