アントニオ猪木さんが亡くなられました・・・
いや、子供の頃からの私のヒーロー猪木に、こんな書き方は他人行儀過ぎる。
失礼を承知で書かせて下さい。
「猪木が死んだ」
今日は10月8日なので、既に一週間が経つのですが、思い出しては涙し、関連の動画を観るにつけ涙している自分がいます。
さて、下記は猪木のYouTubeチャンネル。
もしお時間があれば、是非観てやって下さい。それを観ての感想が今回の院長日記です。
ですので、まるっきり治療とは関係ありません。ある種、自分自身の備忘録。
これまた、もし良ければお付き合い下さい。それでは
https://www.youtube.com/watch?v=VbHjzqLb9VM
「アントニオ猪木は謎かけの名人だ」
と言ったのは、作家の村松友視さんだったろうか。
四角いリングの上で見せる闘い模様は、単なる勝敗ではなく、
「そこからお前は何を感じ取れるんだ?」
という謎かけだと。
その謎かけに気づいたら、もうそこからアントニオ猪木という呪縛からは逃れられないんだ、と。
昔からのファンならよく知っている。
猪木はダジャレ好きだ、と。人を笑わせたい人なんだ、と。
「気さくな人柄」?いや、その指摘、自分は少し違うと思ってました。
手前みそで恥ずかしさを隠さず言うと、自分もそうだからです。
ダジャレ好き、頭の回転がいい、人を笑わせたい・・・そういう面はあります。ありますが、元々そうだったのではなく、そうせざるを得なかったからそうしてきた、と。
そう、そうせざるを得なかったのではなかったか、と。
自分に、猪木のような壮絶な子供から青年にかけてのような経験はありません。
猪木の本質的な「優しさ」はそこに起因するものが大きいように思いますし、そこは自分とは似ても似つかぬ素養です。
じゃぁ、なぜ?
自分は、それは見た目(外見)ではなかったかと考えています。
あの、誰もが一目見たら忘れないアゴ。そして、あのガタイ。
その辺にいたら、「気持ち悪い!」と逃げ出す女性がいるかも知れません。「やーい、やーい」と石を投げる子供がいてもオカシクないのでは?
どう見てもヒール顔(プロレスで言う悪役・憎まれ役)です。
アントニオ猪木という人格を構成する上で、外見(アゴ)に対するコンプレックスは欠かせなかったと、自分は勝手に決めつけています。
じゃ、自分は?
今もそうですが、子供の頃は本当にただのデブでした。図体も、他の同級生の子たちより頭一つ以上は大きなデブ。
近所で遊んでる分には全然問題なかったんです。みんなと三角野球したりかくれんぼしたり、友達んとこで昼寝したり、と。
けど、小学校上がると違いました。
上級生の何人かが、休み時間ごとにからかいに来るんです。
曰く「ぶぅーた、ぶぅーた、おおぶぅーたぁ」と。
上級生にからまれる自分をかばってくれる子もいましたが、関わるとイヤだなと思う子も。そういう子は、どこか遠巻きに自分を見ている、そんな気がしました。
今思えば、小学一年生でも、そのくらいの事は分かるんです。
・・・・・・
そんな「空気」が嫌で嫌で仕方なかった自分の自己防衛手段が、ダジャレだったように思います。
「ホラ、ボク嫌なヤツじゃないよ」
「ね、笑ってよ」と。
で、笑ってもらえると人って嬉しいんですよね。
じゃ、次は何を言って笑わせようかと考える。自然と頭の体操をするようになっていった、そんな気がします。
猪木のダジャレに同じ臭いを勝手に感じ、ますますアントニオ猪木の呪縛から逃れられなくなっていった少年期でした。
その後、大学生となった時、柄にもなく(当時の岡大で3本の指に入る練習の厳しさで知られた)アメリカンフットボール部に入ったのも、そのコンプレックスの裏返しだった面があるように思います。
そして今57歳、猪木79歳の令和4年の秋
あなたの謎かけはリングの上だけではなかったんですね。
すっかり忘れてました。猪木ファン失格です^^;
あなたは、自分のマンションで、その体でガリガリ君で命がけの謎かけを挑んできた。
命がけで。
こんな病床にあっても、あなたは謎かけを挑んできた。
おまけに、「ガリガリ君は皆さんに」だと!どんだけ優しいんだ、テメェこの野郎!
そして、アントニオ猪木という呪縛から逃れられなかった俺は、最後の最後、その謎かけを解けなかったどころか、あなたの謎かけにすら気づけなかった。
だって、あのストロング小林を、マスクドスーパースターをジャーマンスープレックスで投げた時、全体重を支えた首を持つあなたが、自分の力で頭をもたげることすら出来ない姿を目の当たりにして、謎かけをしてくるなんて想像も出来なかったです。
で、今頃はあの、アゴから空気が抜けるような「ムフフッ」という笑いを浮かべながら、下界の俺たちを見て笑ってんでしょ?
「まだまだだな。ムフフ」と。
最後の最期までやられました。
そちらへ行った際は、是非とも再戦をお願いします。
合掌