ひねりにくい腰痛と肩肘の痛み その3

何年か前、「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」という小説がありましたが、今回はそんなお話です(なんのこっちゃ?)

 

「お前、すぐ肩痛い言うなぁ。根性入ってないんじゃないか?」みたいな事を言う指導者がいたら教えて下さい。ぶん殴っちゃりますからシリーズ。前々回はお尻や背中の筋肉、前回は広背筋と肩肘のお話でした。で、またまた腸腰筋の登場です。

またまた腸腰筋の登場です

 

右ピッチャーの場合、踏み込んだ左脚に体重移動する動作は、左の股関節の動きで言うと屈曲と内旋です。左膝が外側に流れてはいい球は投げられません。

腸腰筋はあぐらをかくように働くと書きましたが、股関節で言うと屈曲外旋です。この場合、踏み込んだ左脚の膝が外に流れる動きですので、いい球を投げるためにはしっかりと股関節を内旋させておく必要があります。

右脚も同じです。目安とすると、右の膝が地面につく方向にしっかり折りたためるかどうか。膝が外に残ったままではいい球は投げられません。股関節の動きで言うと、伸展と内旋です。くどいようですが、腸腰筋はあぐらをかく動作(股関節の屈曲と外旋)に働きますから全くの逆ですね。

前回までのアウターマッスル(肩回りや広背筋)同様、腸腰筋が固くても「手投げ」状態になってしまいます。

ようするに答えはデンデン太鼓です。

棒をクルックルッと回転させることで、太鼓がデンデンといい音を響かせます。

糸の部分が腕、棒の部分が背骨、手で持ってる部分が腰です。

いえ、ここまでお付き合いいただいている方ならピンときますよね。

腰ではありません。股関節です。腰にはクルクル回る動き(回旋)がほとんどありません。

股関節や背中の筋肉が伸び縮みすることで、体全体としてクルクル回って見えるんですから。

江夏さんと江川さんとでんでん太鼓の共通点

私のような世代(1965年生まれ)は江夏さんの阪神時代の全盛期をリアルタイムでは知りません。写真のようなポッコリお腹のお姿しか印象がないんです。運動選手の端くれだった自分は、よく思ったものです。

「あんなお腹で、よくプロのピッチャーが務まるもんだ」と。半ば、バカにしながら。

一方、こちらは江川さんもそう。巨人に入るドタバタの頃からを知ってるんですが、江川さんが【怪物】といわれた高校、大学時代をリアルタイムでは知らないんです。こちらも江夏さん同様に、ポッコリお腹が印象的です。入団当時の騒動もあり、「百球肩」とか「手抜き」だとか揶揄(やゆ)されていて、自分も「ま、ああいう体型だからなぁ」と思っていました。

「腹出て、腕も細くて・・・ホンマ、鍛えてんのかいな?」と。

ですが、違ったんです。野球してた人に聞くと「あぁ、なるほど」と納得しました。特に江川さんの体型。

背が高くて腰回りがどっしりしていて腕が細くて長い。これって、まさにデンデン太鼓なんです。

投球動作でいくと

1 振りかぶって一度体重を右脚にのっけます

2 左脚をバッター方向に踏み込むことで、全体重を左脚に移動させます

3 体重移動の経過中、右脚で地面を蹴った反発力が骨盤(股関節)まで伝わってきます

4 股関節の筋肉を瞬時にフル稼働し、骨盤をクルっと回転させます

5 クルっと回転した骨盤の動きが背骨を通じて腕に伝わり、強烈な遠心力を発揮します

6 細くて長い腕がムチのようにしなり、その遠心力が指先に伝わります

7 スナップとともにすごい回転力があるボールが指先からはじき出されます

もちろんお腹も出ていましたが、ポイントはそこじゃかったんですね。

腰回りが強烈にデカかったんです。野球選手に限らず、運動選手は大きなお尻をしていますが、このお二人も例外ではありません。もしかすると、身長と比較すると平均より比率として大きいのかも知れません。

大きなお尻(骨盤、股関節)が瞬時にクルっと回ることで発生する遠心力が、腕が細く長いことでより強力になり、もすごいスピードをボールに与える。

変に筋トレして腕が太くなったりしていたら、あれだけの大投手にはならなかったのかも知れません。まさに投げるデンデン太鼓、ピッチャーをするために生まれてこられたようなお二人なんだなと思います。

「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」という小説がありましたが、

投球フォーム ~江夏と江川と、やっぱり、腸腰筋~

なんつって(^^;

おわかりいただけたでしょか?特に江川さんなんて、両股関節とも内旋出来てます。

地面を蹴った力を、骨盤で瞬時に回転力に変えるには、股間節の筋肉が強いだけではだめなんです。瞬時に動ける柔軟性、瞬間的な動きに耐えられる柔軟性が必要なんですね。

繰り返しになりますが、股間節の動きが固いままで早い球を投げようとすればするほど「手投げ」になり、肩、肘、それこそ腰に負担がかかります。

これは、ゴルフやテニスなど、体を回転させるスポーツに共通するポイントです。

より高いレベルで競技するためはもちろん、余暇としてスポーツを楽しむためにも大切です。

「ん?なんかオカシイぞ」なんてことがあったら、お気軽にご相談下さい。

 

あ、あと大事なことを。

「お前、すぐ肩痛い言うなぁ。根性入ってないんじゃないか?」みたいな事を言う指導者がいたら教えて下さい。ぶん殴っちゃりますから。

といことで、今回で「ひねりにくい腰痛」シリーズはひと段落とさせていただきます。こんなグダグダした話にお付き合い下さりありがとうございました。

次回からはまた少し趣向を変えてお送りしたいと思います。ではでは。